まるで新品!家具修理職人の技、お見せします-テーブル修理編-
お客様からの修理ご依頼の中でも多いのが「テーブル修理」です。
毎日使うものだからこそ、ご使用いただく中でどうしてもキズなどがついてしまうものです。
今回は突板テーブル天板についたキズの修理についてご紹介いたします。
突板とは?無垢との違い
「無垢材」とは、その言葉の通り加工をしていない木材のことです。
自然の中で生まれる木目が魅力的であり、使い込むうちに経年変化により風合いが増していくのも特徴です。
「突板(つきいた)」とは木材を薄くスライスしたものを芯材に張りつけているものをいいます。
突板は、木製家具のデザインの要ともなる木目を合わせやすいためデザインを統一しやすく、装飾にも向いています。しかし、傷が深くついてしまうと修復が難しいなどの難点もあるのですが、無垢材の家具に比べ値段も手頃なためお手に取りやすい価格のものも多く、人気の高い素材となります。
【修復】修理なのに傷をつける?!
長年ご使用いただいたものやキズがついてしまった突板の天板は、突板が芯材から剥がれてしまい、天板にみみず腫れのような跡ができてしまうことがあります。そのような場合には、なんともびっくりな方法で修理を行います。
1. カッターで浮かび上がっている箇所を傷つける
2. その切れ目から接着剤を注入する
3. アイロンで上から圧着する
一見するとキズが余計に目立ってしまうようですが、この方法により浮き上がりを抑え、表面を平滑にすることができます。
【研磨】2段階でベースを作る
次に元の塗装を剥がす作業です。
最終の塗装をきれいにのせるためには下準備が大切です。(ベースのスキンケアが重要な、お化粧と同じですね)
2段階の研磨により表面を整えていきます。
まずはハードサンダーという大きな研磨機械を使って全体を磨き、その後フリーサンダーという手持ちの機械で落ちきらなかった塗装を丁寧に剥がし、表面を滑らかに整えていきます。
まだらに見えるグレーの部分は塗膜が浸透しており、まだ剥がれきれていない状態。ここから職人技でさらに細かく、均一に、研磨していきます。
【目止め】木の導管を埋めて浸透を防ぐ
研磨作業が終わると、次は目止めという工程に入ります。
木の内部まで塗料が浸透するのを防ぐために、「導管」と呼ばれる水分や養分の通り道を塞ぐ作業です。目止め剤を塗った後は隙間に塗料が詰まり、木目が目立つように見えています。
この目止め材にも色をつけることで、それぞれの家具に合ったカラーに調色することができます。
着色目止めという方法を用いて、まるで雪をまとったような、淡い色合いを出したリノベーションの例:
エジンバラ ディスプレイに最適な天然木サイドテーブル アンティークフィニッシュ(MF-021)
【塗装】最後の仕上げは丹念に、繰り返して
目止めが終われば、最終塗装の工程です。
まずは、塗装と研磨を繰り返す下塗りです。
下塗りを繰り返すことにより天板のキズやへこみを平らに整えていきます。
その数平均2〜5回。とても根気のいる、また神経を使う作業です。
下塗りの後は上塗りです。
上塗りとはクリア塗装による最終コーティングのことを言います。
特にホコリやゴミの付着に気をつけなければならず、この最終工程は室内を密閉し、仕上げ用の服に着替えて行うほど徹底した管理のもと行う最後の大事な仕上げとなります。
こんなに綺麗によみがえる!衝撃の仕上がり
このような工程を経てよみがえった天板がこちらです。
同じものとは思えないくらいきれいに磨き上げられています。研磨、塗装を繰り返し、キズが消えたどころか、まるで新品のような輝きを取り戻しました。
家族の食卓を彩ってきたテーブルには、たくさんの思い出がつまっているはずです。
その思い出は大事にしつつ、新たな輝きを与えてあげたテーブル修理例のご紹介でした。