60年代を代表するマルニ木工の名品「デルタチェア」。ミナ ペルホネンでさらに光り輝く
こちらはマルニ木工のコレクションの中でも好評を得ている、minä perhonen(ミナ ペルホネン)のファブリックを、1960年代に造られたと思われるデルタチェアの座面に張り込んだモデルです。
デルタチェア 【ミナ ペルホネン】(MF-002)
デルタチェアは、どこか懐かしさを覚える形をしていますが、この椅子にミナ ペルホネンの生地をミックスすると、時代を超えたエバーグリーンな魅力が引き立ち、さらに味わい深さが増す気がします。
minä perhonenとは
ミナ ペルホネンは1995年、デザイナー皆川 明氏が設立したブランドです。オリジナルテキスタイルをもとに衣服を作るファッションブランドとしてスタートしながらも、徐々に日々の暮らしへとデザインの眼差しを向け、インテリアファブリックやテーブルウエアなど日々のための様々なプロダクトを発表。
国内外のものづくりにおいてコラボレーションも精力的に行い、フランスのフレグランス・コフレブランドDiptyque、ダンスブランドRepetto、スウェーデンのホームテキスタイルブランドKLIPPAN、米アウトドアブランドのTHE NORTH FACEなどとの取り組みを行っています。
使い続けることで新たな魅力を発見するファブリック
マルニ木工とミナ ペルホネンとの関わりは、2013年の三越伊勢丹デザインウィークのイベント「ふしとカケラ」がはじまり。通常は検品で弾かれる木材の「ふし」を生かしたマルニ木工の椅子に、ミナ ペルホネンのファブリックを裁断した際に出る余り布(カケラ)をパッチワークにして座面に使うという限定バージョンを発表しました。
ミナ ペルホネンは2014年にダブルフェイスのモールスキン生地「dop」を発表。マルニ木工のコレクションに加わります。
起毛素材は使い続けていくうちに生地がすり減っていくのですが、ダブルフェイスのdopはその後裏面の生地が現れてくるという特徴を持っています。家具は長い間愛用されるもの。時間をかけてポジティブな経年変化を起こす生地であり、dopが持つデザインの空気感に惹かれたことで仲間入りしました。
時代を超えたプロダクトを誕生させるのがリノベ家具
“tambourine”は小さな粒が集まり輪になったデザイン。フリーハンドで描かれた円に、一粒一粒個性を持つ粒が、ふくらみのある刺繍で表現されています。
一方、生まれてから50年ものあいだその形を保ち、時代にさらされてきたデルタチェアの木部は、塗装を剥がしてマットクリア塗装をかけることで驚くほどの深く温かい味わいを醸し出しました。
この二つを掛け合わせてみると、初めて出会うのに、昔から知っていたような不思議な気持ちを呼び起こす椅子になりました。いつもそばに置いて、ずっと愛していけるような。
この独特な雰囲気は、家具のリノベーションでしかなし得ないものです。製作したマルニ木工、マルニファニシングの修理、ミナ ペルホネンの生地、その三者がかみあって時代を超えたプロダクトに生まれ変わったといえます。こうした価値をこれからも提示していきたいと思います。